世界、まばたく

かんがえた事をかきのこす

推しを推すこと終わること

 

宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』を読んで、「推しを推す」ということについて考えた記録です

 

 

⚠︎小説のネタバレには全く配慮しません

 

 

 

 

個人的に、去年は終わりを目の当たりにすることが多い年だった

いろんな終わり方を見て、推しを推せることは奇跡に近いことなんだって、感じた年だった

普段終わりを意識してオタクなんてしてないし、あんまり考えたこともなかったけど、珍しく真剣にそういうことを考える機会がちょうどあったから、あかりと真幸くんの終わりが、よけいにぐさっと胸に突き刺さった

真幸くんは、アイドルとしてステージに立ち続けることよりも、左手の薬指の指輪を選んだ

それはアイドルとしての自分への諦念だし、同時にファンへの諦めでもあると思う

世界を睨めつけるような眼差しは、ファンへも向けられていた

真幸くんはきっと、ファンから理解されることも、とっくに諦めていたんだろうね

 

 


真幸くんが、なぜファンを殴ったのか、結局最後まで分からなかった

だけどきっと重要なのはその理由ではなくて、最後まで理由が分からなかったことそのものなんだろうな

どれだけ解釈しようと努めても、あかりのようなオタクですら推しの考えてることなんてほんとのところは微塵も分からない


一生涯かけて推したかった


あかりがそう言った一方で、作者は『当然描かれるもの』として終わりを書いたと言っているのを見かけた


いつか絶対に自分が飽きるか、相手が活動を停止するかの未来が待っている。そこは当然描かれるものとして、あかりが対峙するものとして書きました。終わりを描くことによって、推しを推すとは本質的にどういうことかが見えてくると思います。

 

 

 


アイドルがステージに立ち続けるのは、いくつもの選択の末に選ばれた結果でしかない

今までもこれからも、その選択が必然である保証はどこにもない

大切な推しが、いくつもの決断を経てファンの前に立つことを選び続けてくれた、その尊さを私は知っているから

どうかこれからも、選び続けてもらえるように、願うことしか自分には出来ないことも知っている

ファンが誰しもいつか飽きたり、ほかの何かに心奪われる可能性があるのと同じくらい、アイドルにだって突然別の道を選ぶ可能性がある

どれだけ信じて心通わせたと思ってもそれは紛れもない真実で、そして覚悟してるよりも唐突に、鋭く、訪れるものなんだよね

それがへだたりぶんの優しさの、代償なんだと思う

伝わらない痛みを理解してあげられない私達は、黙って耐えるしかない

 


とはいってもそんな事考えながらオタクをするのはあまりにも辛すぎるし、終わりを目の当たりにしても尚始めようと思ってしまう程に、私の推しは優秀だから、普段はそんなこと忘れてる

たぶんだけど、ほとんどの人が永遠なんて無いってわかっててオタクしてるんだと思う

でも別に常に不安を感じてるわけじゃなくて、そんな不安忘れちゃうくらい、アイドル達がみんないろんな方法で信じさせてくれてるんじゃないかな

あなたの推しも、私の推しも、アイドルってみんな最高だよね、永遠の夢、見させてくれそうって思っちゃう

私は佐久間の「俺が最後の“推し”になってやる」って言葉に、馬鹿みたいに感動した

あれは私にとっては永遠を保証してくれる言葉みたいに聞こえたんだよね

心底ほっとして、この言葉がずっと欲しかったんだとすら思った

こういうひとつひとつを、信じる

佐久間が持てるぜんぶの手段をつかって、信じてって言ってるように思える

 


アイドルとファンの関係性って、そういうもんだと思う

お互いに何もかも不確かだけど、必死で手を伸ばして支えあってる

平等で相互的な関係から外れた不健康な関係性、って、そんな感じの表現をされていたけど、平等も相互的もお互い信じ続ければそれが真実になる(暴論か?)

だから私は、信じさせてくれるアイドルと、信じるファンの関係性は健康的だと思う

(現実の人間関係だって、完全に平等で相互的な関係性なんてほとんど無いと思う、バランス取りながら、そうであると思い込んでるだけ)

結果をみれば真幸くんとあかりの関係性は背骨を失った不健康なものになってしまったけど

そうでない関係性も、私達は築いていける

近くにいなくても信じられるのは危険な時もあるけど、素敵だと思う時の方がずっと多い

発信されるものを一途に追いかけて、信じるファンは誰だっていつも輝いてる

健康的な推しとの関係性は、結局は推しと自分の努力で築き上げるもの

だから健康に、ハッピーに、お利口にオタクしたいよね

いつも健康にオタクさせてくれる推しに感謝しながら!

 

 

 

『推し、燃ゆ』を読んだ感想を綴ろうと思ったはずが、何故かオタクスタンス論(?)を語ってしまった、しかも長々と

「推すことの終わり」にだけ焦点あてたけど、小説としての感想は他にも色々あったし考えたから、もし読んだ人いたら是非DM下さい語りたいな

 

 

 

 

 

 

 


最後に、

これはできれば来てほしくない未来の話だけど、もしいつの日か、アイドルとしてステージに立つことよりも、選びたい未来が現れたとして、手を離す時が来たとしても、切り捨てて平気ではいてほしくない

最後のときまで大切に、愛してもらえるファンでいたい

ほんとのほんとは全部が知りたい、だけどそれが叶わないなら、やっぱり全部素敵だったって、これが全部だったって、どうか最後まで魅せ続けてほしい

傲慢かもしれないけど、これは私が、唯一推しに望むこと

 

 

 


せっかくはてなブロガーデビューしたのに一発目がこんな重い話題でつらみ

次はもっとハッピーな話をします絶対に

読んでくれてありがとう